親知らずの抜歯
親知らずの抜歯

親知らずは、顎のいちばん奥に生える歯で、永久歯のなかで最後に生えてくる歯です。正式には「第3大臼歯」といい、「智歯(ちし)」と呼ばれることもあります。
親知らずには個人差があり、もともと生えてこない方や、4本すべて揃わない方もいます。また、まっすぐ生えるとは限らず、横向きや斜めに生えたり、歯ぐきや骨の中に埋まったままになったりすることもあります。
正常に生えていて、しっかり噛み合っている場合は問題ないこともありますが、生え方によっては痛みや腫れ、むし歯や歯ぐきの炎症などの原因になるため、抜歯を検討することがあります。
親知らずの痛みは、生えてくる途中で歯ぐきに炎症が起きたり、汚れがたまって細菌感染を起こしたりすることで生じます。
特に、親知らずが一部だけ見えていて歯ぐきが被っている状態では、歯ブラシが届きにくく、汚れがたまりやすくなります。その結果、歯ぐきが腫れたり痛んだりすることがあり、これを「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」といいます。症状が強い場合は、口が開けにくくなったり、熱っぽさが出たりすることもあります。
また、疲れやストレスで体の抵抗力が落ちているときには、炎症が起こりやすくなることがあります。仕事や勉強が忙しい時期に、急に親知らずが痛くなるのはこのためです。
さらに、妊娠中はホルモンバランスや体調の変化により、お口のトラブルが起こりやすくなることがあります。親知らずに不安がある方や、以前に腫れたことがある方は、妊娠前に一度ご相談いただくと安心です。
横向きや斜めに生えている親知らずは、歯ブラシが届きにくく、丁寧に磨いていても汚れが残りやすくなります。そのため、親知らず自体だけでなく、手前の歯までむし歯になるリスクが高くなることがあります。
親知らずに歯ぐきが一部被っていると、その部分に汚れがたまりやすくなり、炎症を起こすことがあります。これを智歯周囲炎といい、腫れや痛み、口臭の原因になることもあります。また、親知らずの周囲だけでなく、手前の歯ぐきにも炎症が広がることがあります。
上の親知らずが伸びてくると、下の奥の歯ぐきに当たりやすくなり、噛んでしまうことがあります。これにより、傷や炎症、腫れの原因になることがあります。
横向きや斜めに生えている親知らずが手前の歯を押すことで、歯並びやかみ合わせに影響する場合があります。特に、もともと歯が重なりやすい方では注意が必要です。
親知らずの生え方やかみ合わせへの影響によって、奥歯でしっかり噛みにくくなったり、顎に負担がかかったりすることがあります。気になる症状がある場合は、親知らずとの関係も含めて確認することが大切です。
親知らずが顎の骨の中に完全に埋まっていて症状がなく、周囲の歯や歯並びに影響がない場合は、必ずしも抜歯が必要とは限りません。
一方で、痛みや腫れを繰り返している場合や、手前の歯や歯ぐきに悪影響を及ぼしている場合は、抜歯をおすすめすることがあります。
親知らずは、症状が出る前から少しずつトラブルの原因になっていることもあります。気になる方は、歯科健診で早めに状態を確認しておくことが大切です。
親知らずを抜いたほうがよいかどうかは、生え方や周囲の状態によって異なります。気になる症状がある方や、抜歯が必要か知りたい方は、お気軽にご相談ください。
親知らずの抜歯で大切なのは、生え方や周囲の状態を正確に把握することです。特に、下の親知らずでは神経、上の親知らずでは上顎洞との位置関係を事前に確認することが重要です。
当院では歯科用CTを活用し、親知らずの位置や根の形、周囲の神経・血管との距離を立体的に確認したうえで、治療計画を立てています。
埋まっている親知らずでも、必要以上に歯ぐきを切開したり骨を削ったりしないよう配慮し、できるだけ負担の少ない抜歯を心がけています。
抜歯は、麻酔をしっかり効かせたうえで行うため、処置中に強い痛みを感じることはほとんどありません。
まずは表面麻酔を行い、その後に局所麻酔を丁寧に進めていきます。処置中に痛みを感じる場合は、麻酔を追加し、できるだけ負担の少ない状態で治療を行います。
痛みに配慮しながら進めていきますので、どうぞご安心ください。
カウンセリング・診察
現在の症状やお悩み、持病や服用中のお薬について確認し、お口の状態を診察します。親知らずの生え方や抜歯の必要性、治療の流れについてわかりやすくご説明します。
歯科用CTによる精密検査
歯科用CTを用いて、親知らずの位置や根の形、神経・血管との距離を立体的に確認します。事前に状態を正確に把握することで、安全性に配慮した抜歯につなげます。
抜歯前の準備
炎症が強い場合は、麻酔が効きにくいことがあるため、必要に応じてお薬で炎症を落ち着かせてから処置を行います。また、処置前にお口の中を清潔な状態に整えます。
麻酔
表面麻酔を行ったうえで局所麻酔を行い、痛みに配慮しながら処置を進めます。親知らずの生え方によっては、歯ぐきを少し開いて処置を行うことがあります。
親知らずの抜歯
親知らずの状態に合わせて、専用の器具を使って丁寧に抜歯を行います。横向きや斜めに生えている場合、埋まっている場合には、必要に応じて歯を分割したり、周囲の骨を一部整えたりしながら負担の少ない方法で進めます。
止血・縫合
抜歯後は傷口の状態を確認し、必要に応じて止血処置や縫合を行います。ガーゼでしっかり圧迫止血を行い、術後の注意点についてもご説明します。
術後の確認
抜歯後は、出血や腫れ、感染の有無などを確認します。必要に応じて消毒やお薬の調整を行い、安心して回復を待てるようサポートします。
抜糸・経過観察
縫合を行った場合は、通常1週間前後で抜糸を行います。その後も傷の治り方を確認しながら、必要に応じて経過をみていきます。
抜歯後2~3日は、腫れや痛みが出ることがあります。また、傷口が安定するまでは出血しやすい状態です。飲酒、激しい運動、長時間の入浴など、血行がよくなることは控え、できるだけ安静にお過ごしください。
出血が気になる場合は、清潔なガーゼを傷口の上でしっかり噛み、圧迫止血を行ってください。抜歯当日に少量の血がにじむ程度であれば、通常は問題ありません。
抜歯後の穴には、治癒に大切な血のかたまり(かさぶた)ができます。強くうがいをしたり、舌や指で触ったりすると、このかさぶたが取れてしまうことがあります。
かさぶたが失われると、治りが遅くなったり、痛みが強くなったりすることがあるため、傷口はできるだけ触らないようにしてください。
特に下の親知らずを抜いたあとは、腫れが出ることがあります。気になる場合は、頬の外側から軽く冷やすと楽になることがあります。冷やしすぎはかえって治りを遅らせることもあるため、適度に行いましょう。
通常、抜歯後の痛みは少しずつ落ち着いていきます。しかし、血のかたまりがうまくできなかったり途中ではがれてしまったりすると、傷の治りが遅れ、強い痛みが続くことがあります。これをドライソケットといいます。
痛みが1週間以上続く場合や、日にちがたっても改善しない場合は、早めにご相談ください。
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